ラジオ第16回「レートの苦しみから解放される回」

概要

放送次第

Steam版の公式レートシステムも含め、バランス良くチーム分けをする為に用いられる実力の指標、それがレートだと思います。そう、本来は「お互いのチームが勝ち負けになるようバランス良く分ける」為にレートが運用されているものだと思います。しかし、レートというものがなまじ数値化されて見えてしまうものだから、その上がり下がりに一喜一憂するのもまた事実でしょう。さらに、レートの数値を拡大解釈して、日々のゲームをする上でのある種プレッシャーに感じている方も少なくないかと思います。そうなってくると、「ただ単にゲームを楽しみたいだけなのに、いちいちレートを気にしなければいけなくなる」などと、レートに対して変な苦しみを覚えていくものです。

この放送回では、そんな日々のゲームと切っても切り離せないレートに悩まずに済むにはどうすればいいかという内容を取り上げました。主に、心構え的なお話になるので、「レートに見合った仕事をするには」みたいなテクニックの話を語るところはありません。なお、以降の話はチーム戦(4vs4)のレートゲームを主に取り扱います。

あと、放送中にIRSJ時代の僕の昔話をしていますが、ここでつらつら語ったら長くなりそうなので割愛します。少なくとも、今とスタンスは全然違うとだけ申し上げておきます。

レートを見つめて思い悩む

レートに苦しむ

「なぜレートを考えるとこんなに苦しいのか」と思っている方、参考になれば幸いです。

そもそもレート=技術力を数値化したもの、ではないです。即ち、AoE2における基礎的な知識からマウスやキーボードの操作技術、各種戦術を駆使した応用力といった要素を細かく数値化して算出、したものではないのです。あくまで、過去の試合の勝率を考慮して「このレートなら勝率50%になるだろう」というおおよその指標に過ぎないのです。ですので、裏で練習したから上手くなったとしても急に上がるものでもないですし、どんなに実力以上のプレイを披露出来たとしても周りからの不可抗力で下がることもあります。1vs1であれば試合数次第である程度信頼できる数値に近づくかもしれませんが、4vs4ともなれば実に8人分の「勝率50%かもしれない」レートがぶつかり合うので、あまりに不確定要素が多すぎます。ですので、数試合のゲームの結果だけを見て「レートのせいだ」などと言うのはあまりにも尚早というものです。

レートに苦しむ2

もっと言えば、4vs4の中のある敵味方を一人ずつ見た時、その二人のレートから上下関係を語るのもお門違いかと思います。今回取り扱ってるのはあくまで「4vs4のレート」なのだから、そのまま1vs1の話にも適用できるとは言い難いです。サッカーで言えば、全体を見ながら動くのは得意だけど、個人技対決になったら見劣りするといった話です。ですので、目の前のレートだけを見て格下側が勝ったとしてもそれは不思議なことではないですし、レートのせいにするものでもないです。

それこそ、その日の調子によってプレイの質が変わることだってあります。試したい戦術などもあったりします。そういったことを全てひっくるめて、ただひとつのレートという数値だけで何もかもを語れるわけないですし、疲れるだけです。「それでもこの分けられたゲームで勝ちたいんだ!」と苦しみながら意気込む方に次の話となります。

全部勝とうと思わないようにする

全部勝つのを諦める

理屈の上では、4vs4のレートを用いてチーム分けを考慮した場合、全員に与えられる勝率は等しく50%のはずです。となると、一人のプレイヤーに焦点をあてた時、もしそのプレイヤーの技術が全く変化しないまま連勝を続けたとしても、神の見えざる手によって後で連敗街道につっこまれてしまうものです。結果、直近の十数試合の勝率が50%に落ち着くのはなんら不思議なことではないですし、どう意気込んでも抗えるものではないということが分かります。

こんな状況下で「全部勝ってやる!負けるのはイヤだ!」などと思いながらゲームをしていたら絶対に疲れます。しかも、負けた時の理由が解釈できない時に「レートのせいだ!」などと思いこんでしまったりさえします。こうなってくると、レートゲームの闇に飲み込まれるばかりです。そもそも、8人もプレイヤーがいる中でたった一人のプレイングでどうこう出来てしまうチカラがあるなら、そのプレイヤーはもはやそのコミュニティのレートでは測れない別次元の人間、ということになります。基本的にはそうではないはずなので、勝てなかったからといって深く悩む必要はないのです。

もちろん、勝てなかった場合、レートではない何か別の理由がちゃんとあるはずです。負けチームだった人はそういうところをちゃんと省みることはとても大事なことですし、その姿勢こそがレートを上げるきっかけになるかもしれません。ゲーム内容を語る時は、レートからある程度離れて映った光景だけ見た方が改善点を見出しやすいと思います。

蛇足ですが、チーム戦で最も高い勝率であろう戦術を選択するあまり、連携を度外視する人がいるかと思います。この場合、あなたの追い求めているのは技術力の向上ではなく、単なるレートの数値だけである可能性があります。これも続けているといずれ疲れます。勝たなければ面白くないという理屈も分かりますが、面白さの先取りをしている気もします。負けたら即終了な大会でなければ、日々のゲーム(練習)なら負けてもいいんじゃないでしょうか(といっても、手を抜いていいというわけではないですが)。

他、レートにまつわる諸問題

主に、AOCHD.jpでの話となります。

レートの下限設定

レートの下限設定

前述通りですが、レートを技術の習得具合で数値化するのは非常に困難です。仮に、特定の技術に対して一定のレート値を与えて加算方式で数値化したとしたら、それは初心~初級者のレート帯でのみ通用する話でしかないと思います。その数値をそのまま上級者のレート帯とごちゃ混ぜにしてチーム分けをしたらきっと大変なことになるでしょう。

基礎的な知識を全て詰め込んだ上級者のレート帯で言えば、レートは相対的な評価となるでしょう。それをそのまま初心~初級者勢のレート帯にトレースして考えようとしても、「習熟度がそもそも違う」などというところで必ずレートの計算が難しくなるはずです。AOCHD.jpでは目安となる指標を設けていますが、文字通り目安と思った方がいいでしょう。

個人的な意見ですが、一定のレートを基準にレート帯を二分化するか、初プレイ~暗黒内政もおぼつかないようなクラスはレートシステムを運用せず、毎回固定値のレート(というよりランク)を導入するべきかと思います。「コツさえ掴めばすぐに伸びる」という風潮がAoE2にあるのなら、そのコツが分かった時点でレートが全く信用できないものになります。人力作業が増えて管理が大変なところでしょうが、変動しやすい項目であるがゆえに細かく注視しなければいけないとも思います。ちなみに、これは過去の「AOK予備校+IRSJ」の関係と全く同じです。詳細は放送内容をご覧下さい。

レート帯を制限したゲーム

レート制限ゲーム

各人、「有意義なゲームをする」ということが何なのかは色々あるかと思います。もし「今の実力なら御しやすい展開にできる」「全力でプレイした上で改善点を見出したい」などという項目に有意義さを求めるなら、レート制限のゲームを作るのは妥当だと思います。逆に言えば、あまりに強すぎる人に一方的にやられて何が何だか分からなかったということが有意義でないのなら、レート制限をかけるべきです。

ですので、レート制限の外になってしまったプレイヤーは交渉こそしてみてもいいですが、ゲームができないことをレート制限されているせいだと嘆くのは少し待ってほしいと思います。制限内でプレイしている人らが有意義に過ごすことができれば、それに惹かれて他の人が集まってコミュニティの活性化に繋がるかもしれません。また、下位レート帯であれば確実に技術を身に付けて、将来的にあなたの対戦相手となってくれる場合もあります。長い目で見ればコミュニティ全体の、ひいてはあなたへの利益にもなるので、ぐっとこらえてみてはいかがでしょうか。

個人的に気になるのは、「レート◯◯以上のゲーム」があまり見られないことです。過去の事例から言って、実力が拮抗しているプレイヤー同士でやった方が、上達志向の観点から有意義だと思っています。この辺はコミュニティやゲームホストの方針もあると思うので、これ以上の意見は控えておきます。

総括

総括

色々と語りましたが最終的に言いたいことは、日々のゲームを支えてくれているレートだけどその取り扱いはとても難しい、ということです。一切の不満が出ずにレートという数値だけで全てが制御できたらノーベル賞ものだと思います。もっとも、出来る限り公正なゲームを楽しむためにレートを頼ったり、日々のモチベーションの為にレートを指標にするところはあるでしょう。ですが、一旦ゲームが始まってしまったら、レートのことは深く考えずに目の前のゲームをしっかり楽しむことが、AoE2を長く楽しみ続けるコツなのかなと思います。

誤解なきようにして頂きたいのが、ここまでの話は前提として毎ゲーム真剣に取り組むという話があります。どうせ勝率は50%だからと、負けそうな試合を早々と見捨てるようでは拾える勝ちも拾えませんし、上達のための手がかりも見出しにくくなります。全力でプレイした上で負けたのであれば、相手がその一つ上を行ったということで、それを讃えるのが基本的な姿勢となるでしょう。

半端な言い分にならないよう、多少踏み込んだ意見も述べてきました。気分を害したらすみません。「有意義な時間を過ごす」ためにレートを取り扱うことは、様々な角度からの議論が必要だということでご容赦下さい。

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