ラジオ第14回「HD Ver5.8解説回」

概要

放送次第

2018/09/07に正式パッチとなったVer5.8のオーブンβ版として2018/08/04に公開されたパッチの紹介をしました。詳細は正式パッチとなったVer5.8変更点を確認して頂ければと思います。ここでは変更点にまつわる余談を中心につらつらと語ることにします。

AoE2のダメージ計算式

ダメージ計算式

参考サイト:Age of Empires II:Portal[Armor Class]

ダメージ計算式は端的には右図の通りです。実際にはAとBの合計値に高低差が計算されます。

槍が騎兵ユニットに大ダメージを与えられるという仕様は、槍が「攻撃属性:騎兵」を持っていて騎兵が「防御属性:騎兵」を持っているから反映されるものとなります。そして、槍が象ユニットにさらなるダメージを加算できるのは、槍が追加で「攻撃属性:象」を持っていて象が「防御属性:騎兵」「防御属性:象」をどちらも持っているから大ダメージが発生します。

この「属性:Armor Class」という仕様でややこしいのは、1つのユニットが複数の属性を所持しているという話です。一例を挙げると、クメールのユニークユニットであるバリスタエレファントは騎兵なのか象なのか、はたまた包囲兵器なのかと問われると、全部ということになります(ついでにユニークユニット扱い)。ですので、何が弱点なのかというダメージ計算を考えた時、対槍やらくだだけでなく、破城槌のような包囲兵器相手まで考えなければならないということになります。複数の属性を所持するユニットはユニークユニットに多く、他にはコンキスタドールやマムルークなどが挙げられます。

各ユニットにおける弱点を細部まで研究しようと思った時、各ユニットが所有する攻撃属性(+数値)と防御属性(+数値)を理解しておかなければなりません。でないと思わぬ誤解を生みかねません。顕著な例がエリートカタフラクトです。エリートカタフラクトは「防御属性:騎兵」の値が16もあります。エリートカタフラクトが槍からのダメージにも強いという仕様はここから来ています。ところが、この話は他の対騎兵ユニットにも派生して、重装らくだ騎兵(攻撃属性:騎兵+18)、エリートカマヤック(同+12)、エリートジェノヴァ石弓兵(同+7)などにも影響します。単に「ELカタフラは槍からのダメージを半減してくれる」などという曖昧な解釈をしてしまわないよう気をつけましょう。

バランス調整の難しさ

バランス調整の難しさ

バランス調整の度に取り沙汰されるのが、「何のためのバランス調整なのか」という話でしょう。素直に「日頃のゲームのため」と答えたいところですが、これが果たしてどのマップのどのくらいの強さのプレイヤー向けのどのルールに対しての調整なのかと言われると難しいところだと思います。例えば、今回のVer5.8の変更を受けて、日頃から海マップをやっている人が「イタリアの漁船が高くなって弱体化した」と感じる人もいれば、アラビアばかりなので「イタリアは特に変更なし」と感じる人もいるでしょう。

ベトナムかわいそう

個人的には「あらゆるマップで選択肢が消されるくらいに哀れな扱いをされる仕様」を是正するくらいでいいと思います。つまり、「特定のマップなら多少可能性がある」くらいの仕様変更がちょうど良いかなと思います。ここでの例はベトナムにしますが、Ver5.8で射手のHPが常時+20%になったからといって劇的に変わったわけでもなく、未だに受け入れられていない所が多いと思います(特にEscape Champions Leagueで使用率が低すぎる…)。しかし、野良募集の遊牧系マップでは不規則になる相手の初期位置が確実に分かる要素がとんでもない強さを発揮したりします。31個もある文明のバランスを取ろうというのは難しいところがあるので、何が得意で何が不得意かが明確に分かって逆に良いのかなと思います。(とはいえ、ベトナムはまだ上方修正がほしい…)

規制は簡単

仕様変更がないと一部の戦術が強すぎてそこに人が集中するようになって飽きが来てしまう恐れがあります。貢ぎ戦術が最たる例です。そういったことが特に末端レベルのプレイヤーで発生してしまうようなことだけは食い止めたほうが良いと僕は考えます。プレイ人口あっての対戦ゲームだと思うので、出来る限り初心者ランクの意見も吸い上げて調整をするのが望ましいと思います。上級勢、特にプロ級のメンバーはどんな仕様変更がかかっても柔軟に対応すると思いますし、その対応力こそが求められているとも思います。

塔のバランス調整

塔のバランス調整

塔の建造コストが木50石125になり、約20年近くずっと同じコストでやってきた塔についにメスが入ったと思うと、劇的な修正と言えます。昔からいわゆるTR(塔ラッシュ)は初心者が対応しきれない卑劣な手段とも言われていますが、TRを弱体化させるようにする手段が難しかったのではないかと思います。ハンパに塔の攻撃力を弱くするようにしてしまえば、今度は防衛時に使いづらくなるでしょうし、農民に対してだけダメージを和らげるような仕様になれば、今度は農民を攻撃ユニットにして塔を殲滅するような手段がとられるでしょう。

今回の修正をどう捉えるかは人それぞれでしょうが、個人的には「チーム戦でTRを使い続ければいずれ勝てなくなる」仕様変更だと思います。序盤からのTRは内政を圧迫するようになったので、従来よりも他メンバーとの内政拡大が遅れてしまいます。すると、最終的にゲームを決定づける手段は味方に頼る場面が多くなってしまい、自分の力と無関係な終わり方になることも多くなるでしょう。もし、各プレイヤーの力量(レート)を考慮したチーム分けがなされた場合、格下が格上を簡単に押さえつける有効戦術ですが、それを繰り返していけばいずれ自分が今度は格上扱いになり、ゲームを引っ張らなければいけない格上の存在が小さくなるおそれがあります。先を見据えて実力をつけたいのであれば、TRはほどほどにした方が良いかもしれません。

ちなみに、1vs1では多少資源バランスが変わるくらいで極端な弱体化というようには見えないと思います。肯定派の意見も残しているあたり、良い調整が入ったのではないかと思っています。

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