詳細・解説
前回の21年10月度変更点で長剣剣士が底上げされたことを受けて、今回は城主の時代における歩兵系ユニークユニットが全体的に見直されました。序盤の柵や家の弱体化も相まって、なんとか歩兵ユニットに活躍を見出して欲しいという開発側の意図が垣間見えます。一見、変更項目が多いですが、アラビアに限って言えば、文明間のパワーバランスや戦い方はそこまで大きくは変わらないと思います。一方で、他マップでは留意すべき点はわりと多いかなという印象です。
一般
- 柵のコストが木2から木3に増加
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柵
アラビア視点でモノを言うと、領主序盤までに自陣を全て囲おうと思ったら柵をだいたい30~40程度必要とします。ですので、従来より木30~40多く必要するようになったということになります。序盤に限って言えばそれなりの負担を強いられることになりますが、それ以上に全く柵をしなかった場合との比較を気にしなければならないでしょう。自陣を囲うだけで、単純な柵のコストに加えて町の人の移動時間、建造時間が重くのしかかることになり、概算で木150~200前後取られてしまうことになります。鉄工所や他小屋の増設に大きく関わる要素になるので、初手で囲いながら攻めを成立させるのは相当難しいことと心得た方が良いでしょう。チーム戦の後衛は斥候の着弾をより早く意識するだけで、前衛に与えるプレッシャーは今までよりもかなり大きなものになると思います。
なお、マヤのチームボーナス「柵のコスト-50%」による削減量は1.5ではなく1です。1マスごとに小数点は切り上げられているのでご注意を。
- 家の近接防御力が(暗黒0/領主1/城主2)から(-2/-1/1)に減少
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家
暗黒、領主でマイナス2、城主でマイナス1されました。従来との比較で言うと、以前は軍兵(通常6+ボーナス2)で家を殴って壊す場面が領主斥候(通常5+ボーナス0)でも事足りそうなくらいには家に対するアプローチが加速するようになりました。もちろん、軍兵のそれはさらに強力になり、建てかけの家で防衛するような手段を強行突破できる可能性がより高まりました。修正の意図としては「暗黒の時代で長く内政を行って即城主に移行する、その為の家壁活用」「領主戦において軍隊を生産せずに家壁などで耐える」といった内容を是正するところだと思います。即ち、「領主の時代では互いに軍隊を出し合うことによる駆け引きを重視する」という狙いが見て取れます。以前からそのような調整は他にも行われてきましたが、家壁にもメスを入れてきたかというのが正直な感想です。上級者同士の戦いでは既に軍隊を出し合う傾向が強いのでそこまで大きく変化はなさそうですが、あまり軍隊の衝突をせずに街作りに専念しがちな初級~中級者勢にとってはこの機会に考え方を変えた方が良いのかもしれません。
- 斥候系(イーグル系)の最小転向可能時間が4秒から8秒に増加
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斥候
イーグルウォリア
転向の仕様は海外wikiかこちら(自作の日本語解説)を御覧下さい。
端的に言うと、運ゲーの排除です。元々転向抵抗力が高く、真っ当に聖職者アンチとして活用したい斥候が、これまでの仕様では運が悪いと4秒という短い時間で転向が成立してしまいました。今回の変更で、斥候はひとまず近づいて1回2回は聖職者を殴ることが確実に行えるようになったので、騎兵にアップグレードをするなりきちんと対策をとれば聖職者に翻弄される場面は減ったと言えます。聖職者側は、斥候系への転向による防衛は諦めて、倒されること前提で別の転向が容易なユニットを狙った方がまだ採算が取れるかもしれません。
- アラビアマップがKotD4仕様に変更
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King of the Desert 4(KotD4)に関する情報はこちらから。
おそらく大会PR用の一時的な変更になるとは思います。大きな変更点としては、イノシシ(食料340)がサイや象(食料400)に変更されて食料供給のバランスが相当変化するようになったので、大会とは無縁な往年のプレイヤーからするとかなり違和感を覚えるかと思います。とはいえ、直近のパッチで度々アラビアマップの調整が入っているので、プレイヤーのフィードバック次第では今後も定着する可能性はなくはないです。個人的にはイノシシ仕様のままで良いと思いますが…。
- 遊牧マップで和平時間5分の設定を導入
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大会では禁則事項的に導入されていた和平ルールでしたが、ランクマッチの遊牧プレイヤーにもシステム的に導入されたという待望の内容となります。これにより、最序盤で町の中心を建造する前から町の人が理不尽に殴り合うような別ゲー感が発生しなくなりました。また、一旦町の中心の建造が始まると周囲8マス以内に不可侵エリアが発生し、他のプレイヤーがそこに町の中心を建てることができなくなりました。よって、ペルシアの町の中心ラッシュ(TCR)のような序盤から潰し合うような戦術はかなり仕掛けにくくなりました。和平効果により町の人が中心矢に刺される心配もないので、自陣周りの食料が不十分なら積極的に探索するようにしましょう。
この仕様を逆手に取って、ケルトが最初の5分で縦横無尽に敵チームの羊をかっさらうなんてことができなくもないですが、それなりにリスクも生じるのでやはり序盤は平和的に街作りをするのが一番かと思います。
- ゲーム中、文明アイコンをマウスオーバーでテクノロジー一覧が表示
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画面の右半分をほぼ占拠する勢いで大きく広がるので常時出し続けるのは当然控えるべきですが、既存のテクノロジー一覧と違ってひと目で全ての情報が追えるようになったのでとてもありがたい変更かと思います。もっとも、これまでもModでこのような対応をしてきたものもあったので、積極的に活用していけるかどうかはプレイヤー次第でしょう。一応、新しい要素として研究済みのテクノロジーがアイコン下部の緑線の濃淡で分かるようになったところがポイントとなります。
アステカ
- ジャガーウォリアのHPが50から65に増加
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ジャガーウォリア
長剣剣士と比較したらさすがに耐久力がなさすぎましたが、これでとりあえず剣士としての存在意義は確保できたかと思います。ノーマル状態でも帝王歩兵に対して高い攻撃力を出せるので、とっさの時に運用すればコスト分の働きはできるでしょう。
ボヘミア
- (EL)戦闘馬車の移動速度が0.85から0.8に減少
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戦闘馬車
耐久力だけはコスト以上の存在感があったので、逃げにくくすることによって多少やられやすくなったと言えます。正直、些細な変化です。
ビルマ
- 帝王ユニテク「マニプル騎兵」の効果変更
「防御属性【弓兵】に対してのダメージ+5(アランバイが効果対象外に)」
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マニプル騎兵
騎兵単独で建物を破壊するという行為は、防衛意識が低い相手に対しては相当の強さを発揮しましたが、一定レベル以上のプレイヤーに対してはそもそも進入が許されなかったりして従来の効果が発揮しづらかったところがあります。思い切った内容変更により、ビルマの騎兵ユニットに明確な対抗戦術が増えたと言えます。とはいえ、相手や状況をかなり選ぶので、噛み合えばラッキーくらいに思っておきましょう。
ビザンティン
- チームボーナス「聖職者の回復速度+50%」が+100%に増加
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聖職者
戦闘開始時間が全体的に前倒しされている傾向がある中で、回復速度向上の恩恵が物足りなかったか、あるいは更に付加価値をつけようかというところでしょうか。単純に聖職者二人分の回復力を一人で担えるようになったので、意識して運用すればそれなりに嬉しく感じる場面が増えるかもしれません。
ケルト
- ウォードレイダーの攻撃力が8から10に増加
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ウォードレイダー
防御力の上がった長剣剣士と殴り合って負けるのはさすがにユニークユニットの名折れということでしょう。足の速さを生かした包囲兵器排除はよりお手軽になってちょっと嬉しいところです。
クマン
- 「射手育成所と騎兵育成所の建造コスト(木)-100」が-75に変更
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射手育成所
育成所
通常文明が小屋1個建造するコストよりも安く2個建造できてしまっていたのは、単純に他文明よりも生産速度が2倍違うと言っているようなものなので、特にエンパイアウォーズ仕様のゲームではそれだけで高評価の扱いでした。一旦コストを下げて様子見という風に見えますが、それでもエンパイアウォーズならまだ強力な部類に入るかと思います。
エチオピア
- ショーテルウォリアのHPが40から45に増加
- ショーテルウォリアのEL化コストが食料1200 金550から食料900 金450に減少
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ショーテルウォリア
ショーテルウォリアは他の歩兵ユニークとはスペックの尖り方が違うのでこの修正の嬉しさがなんとも実感しづらいですが、ありがたく受け取っておきましょうというくらいです。EL化コストは特に食料が大きく下がったので、射手系重視のエチオピアにとっては兵種切り替えが多少やりやすくなったように思います。とはいえ、そんな状況はイーグルやハスカールが襲って来た時くらいかと思いますが。
インカ
- カマヤックのHPが60から70に増加
- カマヤックの近接防御力が0から1に増加
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カマヤック
カマヤックは元の攻撃力が7と低い代わりに槍と同じ騎兵ボーナスがあるので長剣剣士との比較は難しいですが、ユニークユニットなのに他の歩兵と殴り合って勝負にならないみたいな悲惨な状況は避けられるようになったかと思います。カマヤックは射程1を生かしての当て方次第なところもあるので、元々それなりに戦えていたのなら結構強くなったという印象を受けます。
日本
- 武士のHPが60から70に増加
- 武士の攻撃力が8から10に増加
- 武士のEL化コストが食料950 金875から食料750 金650に減少
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武士
相手がユニークでなければほぼほぼ出番なしという扱いからかろうじて脱却できました。元々生産速度は優秀なので、最初から長剣剣士の代わりに運用してみるのも面白いかもしれません。EL化のコストは歩兵にしてはものすごく重い印象だったのでかなり運用しやすくなりました。しかし、やはり相手がユニークでなければ、他の軍隊の方がよりスマートな対応ができるというのが武士(剣豪)の現状かと思います。
マリ
- グベトのHPが30から35に増加
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グベト
グベトは歩兵というか荒らしメインの射手のような運用なので、長剣剣士と関係あるかどうかは謎ですがとりあえずの上方修正です。以前は散兵で対処できなくもなかった節があったので、散兵側はより数を揃えて対処する必要がでてきそうです。
ポーランド
- 「包囲攻撃技術」追加
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包囲攻撃技術
ポーランドの帝王軍はスペックだけ見たら何を出したら良いか困るレベルで貧弱だったので、包囲兵器による最低限の強みを得られた格好となります。射手に対して投石機の運用が現実的になったのはかなりありがたい要素です。
- (EL)オブヒの生産時間が9秒から12秒に増加
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オブヒ
建物一点突破をする為に運用するならコスパと投入速度がかなり優秀だったので、一旦落ち着かせられてしまいました。スペックが落ちたわけじゃないので、今まで通り運用していって問題ないかと思います。
チュートン
- チュートンナイトの攻撃力が12から14に増加
- チュートンナイトの近接防御力が5から7に増加
- チュートンナイトのEL化コストが食料1200 金600から食料950 金500に減少
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チュートンナイト
近接の鬼がさらにとんでもない仕様になりました。近接面だけなら城主兵が帝王兵に勝てる勢いです。そこまでやってもいいと思われるくらいには、その近接戦闘の出番がまるでないのでしょう……。EL化コストが安くなっても、やはり運用は状況次第というのは当面変わらないと思います。
バイキング
- 「弓懸」削除
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弓懸
海文明であるはずのバイキングが、陸戦でも他の弓文明とひけを取らない強さを誇るくらいには現代AoE2界で名を上げてきたかと思います。時代先行力に特化したバイキングは特に重石弓射手の猛威が凄まじかったので、時代先行しても弓懸をなくすことで暴力的な被害は抑えられたという話になります。が、逆にバイキングがチーム戦で使えるメインウエポンもまた重石弓くらいだったので、手痛い下方修正になったかと思います。1vs1の影響はそこまで大きくないとは思いますが、全体的なバイキングの選択率はかなり低くなるような気がするくらいには大きな修正内容でしょう。
- 「歩兵のHPが時代ごとに増加」から「領主の時代以降HP+20%」に変更
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軍兵
領主軍兵が今までよりも1発分多く耐えるくらいの差ですが、元の差から考えるとわりと突出した内容になったかと思います。バイキングの最序盤がそこまで強いわけではないので、それを支える武器としての運用が期待されるでしょうが、歩兵の運用自体が状況次第なところがあるので影響は限定的かと思います。エンパイアウォーズは序盤から積極的に活用するのが面白くなりそうではあります。
- ベルセルクの攻撃力が9から12に増加
- ベルセルクの近接防御力が0から1に増加
- ELベルセルクの生産時間が14秒から12秒に減少
- ベルセルクのEL化コストが食料1300 金550から食料1075 金475に減少
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ベルセルク
エリートベルセルク
弓懸が取り上げられた代わりに、バイキングらしさ(?)が出るベルセルクの上方修正です。ノーマルでも相当強くなったので、とりあえず近接兵が欲しくなったときはベルセルクで間違いないと思います。包囲兵器の駆除が必要な場面では重宝することになるでしょう。その流れでEL化を狙っても良いくらいにはコストも良心的になりました。1vs1での活躍が期待されますが、チーム戦でも生産力次第ではそれなりに見応えのある活躍ができるかと思います。